2013.3.10(日)更新
EF64貨レ
2013.1.13(日) 成田線佐原−大戸
Canon EOS-1D X EF500mmF4L IS ISO100

 2013年一発目は3月のダイヤ改正で山男EF64の撤退が噂されている鹿島貨物。自宅からわずか1時間ちょっとのお気楽ポイントである。
 この時期、冬型の気圧配置であれば関東平野はたいがい好天に恵まれる。しかし、草木は枯れ、どこまでも平らな平野は茶色と水色だけの世界になってしまう。単線片持ちポールでパンタを抜いた青空バックの編成写真なら何も考えなくても撮れるのだが、それではあまり私の写真らしくない。というわけで、今回もアウトカーブの縦顔面、イン側の横っ腹をチラ見せした一発を公開したい。
 アウトカーブの縦顔面で最も重要なのはフレーミングである。上下左右の微妙なバランスをパン棒わずか半回転の遊びで調整し、画面いっぱいに顔面を配す。電化区間では架線柱がパンタの真後ろに重ならないように肩口から抜く。車体長やスカートとパンタのバランスが機関車とは異なる先行の練習電車で予測をして、ひたすらアングル調整を繰り返す。特に横っ腹見せアングルは角度変化によって見かけの車体長が刻々と変化するため、ベスト位置の判断が難しい。モードラは最速モードにして、ファインダーから車体がハミ出るまでシャッターを切り続けて最良のコマを選択する。完全に顔が正面を向いたアウトカーブアングルとは違って、この横っ腹見せアングルでは秒速12コマで切っても当たりはせいぜい良くて2コマ。最悪、車体が切れて全ハズシの危険性もある難しいアングルなのである。
 そして、最適なAFフレームを選択する。カメラによってピント精度が高いクロスセンサーの配置は異なるが、コントラストが高く、縦横の塗り分けや凹凸があるパーツが含まれる箇所にクロスセンサーが来るようにAFフレームを選ぶのである。この写真の場合は中央一択である。AFは頼るものではなく、真のバリピンに少しでも近づくために使いこなすものなのである。
 ここまでセッティングができれば、あとは不可抗力による失敗がないことだけを祈って列車を待つだけになるのだが、私は過去に列車の顔が汚れていたり、機関士がマスクマンだったり、鳥に横切られたり、泣くに泣けない災難を被った幾多の経験がある。シャッターを切って、現像からポジが上がってくるまで、プレビュー画面で画像を確認するまでは、けっして油断することはできないのである。
 午前9時50分、千葉の平地には場違いなモーター音をうならせながら、カーブの奥から青い山男が姿を現した。

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